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「ももたろさん」第三回

こんにちは。井上のなっちゃんからバトンを渡されました、第3走者の長村です。

もう正直5期生の文才が発揮されすぎて、そしてもう話をどう進めたらいいかわからず
ほんっっっっとに大変でした(T_T)

第3話のはじまりはじまり~~ですっ。



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どれくらい気を失っていたのだろう。

美香子はゆっくりと目を開けた。

すごく薄気味悪い夢を見た気がする。いや夢だろうか。
夢にしてはリアルすぎるのだ。あの光景も甘い懐かしい匂いも最後に触れたヨウスケの腕の感触も全てはっきり覚えている。
美香子は、本能的にこれは夢なんかではないと悟っていた。だとしたら、とんでもなく恐ろしいことに自分は巻き込まれている気がする。




「・・・っつ。」あまりの頭の痛さに意識が遠のきそうになる。頭が割れるように痛い。動悸がする。胸が苦しい。息もしづらい。美香子はゼイゼイと息を切らしながらも意識をなくすまいと懸命に耐えた。ここでまた気を失ったらもう二度とこの世に戻って来られない、そんな予感がした。




意識を朦朧とさせながらも、美香子は自分が意識を失うまでの記憶をたどっていた。そうしなければならないという想いに駆られていたのだ。
特に桃太郎伝説発祥の地に行った時に起こったことを思い出さなくては。


白い霧に囲まれひんやりとした空気に包まれた車内。
佐奈から車はずっと走り続けているにもかかわらず、カーナビの位置情報が一向に変わらないことを聞かされた。その時の佐奈の顔色が心なしか青白く、目が不安げに泳いでいたことも覚えている。
ヨウスケが電波が悪く道も調べられないからと言って車から飛び降りて・・・



何かが「切れた」




でも何が?私の記憶?すごく大切なことなはずなのに思い出せない。思い出そうとすればするほど頭の痛みはますますひどくなる。





ヨウスケを追って私も車から飛び降りた。ヨウスケが白い霧の中に消えていってしまうように感じて、というより白い霧にさらわれてしまうような気がして、慌てて飛び出したのだった。




それだけじゃない。「匂い」だ。匂いに誘われるようにして思わず外に出てしまったというのも事実だ。甘くて懐かしい匂い。私はこの匂いを知っている。

この匂いはおそらく桃だ。

私にとって思い出深い匂い。
桃の木の下で木陰に並んで座る男の子と私。いろいろなことを話して遊んだ。
集合場所はいつも桃の木の下だった。
学校も違う、男の子のことは名前しか知らない、なのにありのままの自分でいられた。
男の子といっしょにいられるだけで心が浮き立った。あの時は幼すぎて気づいていなかったが、私の初恋の思い出だ。





男の子の名前はなんだっけ?思い出せない。でも突然いなくなってしまったのだ。
最後に交わした会話はたしか・・・
「ねえ、美香子ちゃん。桃太郎伝説って知ってる?」
「桃太郎?知ってる~!鬼退治に行くやつだよね?」
あのとき男の子は否定も肯定もせず悲しそうに微笑んで「またね。」と言ったのだ。





こんなことがなければ思い出さなかったであろう記憶が蘇り、美香子は背筋が凍るようだった。
あの時の桃太郎伝説は今回のことに繋がっている。
「またね。」と言ったということは私は初恋の男の子に会っているということだろうか。あの男の子はいったい何者で、桃太郎伝説とは何なのだ。





そこで美香子の記憶は「切れた」・・・。





はっと我に返り、とても恐ろしくなった。コドモの頃から美香子が桃太郎伝説に関わることは運命づけられていたのだろうか。だとしたらこの恐ろしいことの元凶は美香子自身だ。
ヨウスケは、佐奈は、ザッキーは無事なのか。悪い想像しかできないが、今は可能な限りあの日起こったことを思い出すことが先決だ。そうすることでみんなを救えると美香子は感じ始めていた。





そうだ、ヨウスケを追って小さな小屋を見つけた。ヨウスケが小屋の中に入っていった。そこからだ、ヨウスケがおかしくなったのは。
ヨウスケの叫び声が聞こえて、勢いよく飛び出してきたヨウスケはまるで何かに取りつかれているかのようだった。ヨウスケがヨウスケではないように感じた。


ヨウスケの腕を掴んだ瞬間、霧が一気に濃くなり強い風で目の前が見えなくなった。そのときもまたあの桃の匂いがしたのだ。
そのときヨウスケの姿と初恋の男の子の姿が重なって見えた。
匂いのせいだろうか、
それともヨウスケはオトナになったあの男の子なのだろうか。
だとしたらヨウスケでないように感じたあの薄気味悪さはいったい何なのだ。もう何もわからない。何を誰を信じればいいのだ。




美香子は泣き叫びたい衝動を必死に抑えた。というより声が出なかったという方が正しい。
ん?声が出ない?そうだ、気を失う前、舌も回らなくなって・・・顔を洗ってすっきりさせようとして鏡で自分の姿を見て・・・。
ということは鏡を見ればなにかわかるかもしれない、そう思いつき美香子は洗面所へ向かおうと腰をあげた。





そのとき玄関のインターホンが「ピンポーン」となった。
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お次は塚田のにーなさんです。にーなならバシッとしめてくれることでしょう。お楽しみに(@^^)/~~~
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