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「ももたろさん」第四回

「ももたろさん」最終走者塚田です。
季節の変わり目に風邪をひきまして、その間にブログのお題がリレー小説になっていて、いつにもまして頭を悩ませました…。

あ、でも、いつも頼りないゼミ長が、どうやら、休んでいた私がリレー小説トップバッターになりそうなのを代わってくれたらしく、少し見直しましたね!!

さて、そんなゼミ長から始まった「ももたろさん」。
ホラーですよね…。
私、ホラー大っ嫌いなので、ホラー映画もホラー小説もホラー漫画も読まないんですけど、正直今までのゼミ生の創作能力が高すぎて普通に怖くて涙目です。

今のところ、はっきりとしたことが何もわかってませんが、何とか終わらせたいと思います。

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「岡山さん!これ岡山さんにって、上から!」

「桃太郎事件…?」

「そう!最近噂の怪奇事件ですよ…!知りません…?男女の若い四人組が病院に運ばれたやつ…」

「あー、あれ事件性ないって話じゃ?」

「それがわからないから調査しろってことらしいですよ…!」

「え、」

そう言い終ると、同期の島浦は未解決怪奇事件を押し付けて去っていった。


「あいつ…」

どう考えても当てつけだ。





こういった事件は、だいたい調査しても未解決で終わるのだ。
ポイントにならない、ただの時間の浪費だ。
警部になってから今年二年目になる。
出世欲が強いわけではないのだが、無駄なことが嫌いな性格が幸いしてか、同期よりも少し早く出世でき今に至る。



押し付けられた書類を手に部屋に戻ると、犬山が眠そうに近づいてきた。

「どこいってたんすかー。」

「散歩だよ、散歩。」

若干いらっとしながら答えたものの、いいことを思いついた。
うちには、動物がたくさんいるじゃないか。

「犬山ー。門橋ー。武田ー。お前らこれ調べろ。よろしく。」


「えっなんすかこれ!桃太郎事件?」
「最近噂の怪奇事件ですね。」
「なんで俺らが…」


デタラメに選んだわけではない。ちゃんとチームワークを考えた結果でもある。
それに、被害者とされるその四人に話を聞いて、現場とされる場所に行って報告書を書けばいいだけに終わるだろう。


「まあよろしく。」











「モンキーこれってどういうこと―?説明して―!!」

「では、報告書の内容を確認のために今一度私から説明させていただきますね。」

モンキーとよばれている彼の名前は、カドバシ キョウヤというのだが、
出会って早々犬山に、もんきょうと読み間違えられたことがきっかけで、以降やはり犬山が呼び出したモンキーというあだ名が定着してしまっている。
堅物と言われる、いわゆる真面目野郎だ。

「大橋美香子、深山佐奈、高橋洋介、宮崎文太の四名が岡山県の美咲町で錯乱状態で発見されました。かろうじて、意識を保っていた深山佐奈が近くの交番に駆け込んだことで、捜索が開始し、まず倒れている高橋洋介を発見、そこから300メートルほど離れたところで、同じく倒れている大橋美香子を発見。宮崎文太は二人とはかなり離れた場所で、木にぶつかった事故車の中で発見。深山佐奈は交番で「ももたろさんののろい」としきりにつぶやいていたそうです。すべてにおいて謎めいていますが、特におかしなところが深山佐奈以外、なぜか三人とも顔の上半分が赤くなっており、まるで桃のようになっていたということです。その後、病院で手当てを受けた深山佐奈によると、お盆に高校時代の仲間である四人で、桃太郎伝説発祥の地に車で出かけたということのようです。」

「こわ!!!!えっめっちゃこわ!!」
「怖いな。」
「けーーーん!そんな淡泊に言われても全然怖がってるように見えないよ!!」
「それにしても桃太郎伝説って。」
「もーもたろさんっももたろさんっおっこしにつけたーっきーびだんごーってやつでしょ?」
「鬼退治するやつ。」
「オカルトだっけ?」


深山佐奈の話には、オカルト番組で見た桃太郎伝説発祥の地が特集されていたとあった。もちろん彼らの知っている桃太郎は決してオカルトチックのものではなかった。


「まずはそのオカルト番組を見る必要がありそうですね。」

門橋はそういうと事件に巻き込まれたとされる四人の状態を確認しに行くことを二人に任せ、自分はそのオカルト特集のデータを探しに行くと言って出ていった。


犬山 一(いぬやま はじめ)と武田 健(たけだ けん)、門橋 恭也の三人は同期なのだが、大体門橋・犬山 武田で行動することが多く、仲が悪いわけではないのだが、なんでだかこのフォーメーションが定着している。



「看護師さーん!僕たち警察なんですけどぉー」


病院につくと、さっそく犬山がその辺にいた看護婦に声をかけた。
犬山のあまりにも軽いノリのせいで最初は警戒されたものの、何とか担当医に案内してもらうことができた。



「深山さんはもう意識もはっきりしているのですが、一応大事を取ってまだ入院してもらっています。こちらが深山さんのお部屋です。」

案内された部屋に二人が入ると、ベッドに上体を起こし窓の方を向いた状態で、深山佐奈が座っていた。


「はじめまして。岡山県警の者です。
こんなときに、申し訳ないですがお話を聞かせていただけますでしょうか。」

「……はい。」

武田の挨拶でこちらを向いた深山佐奈は、ひどく力ない声で答えた。


「いきなりですが、あなた深山佐奈さんと、大橋美香子さん高橋洋介さん宮崎文太さんは高校時代の友人でお盆休みに、桃太郎伝説発祥の地に遊びに出掛けたということでよろしいですか?」

「…はい。」

武田がそう切り出すと、犬山はそんなぶっきらぼうに!!と文句を言ったが武田は無視して質問を続けた。

「なぜ桃太郎伝説発祥の地に行こうと…?」

「ずっと四人で遊びに行こうと思っていて、そんな時テレビで桃太郎伝説の特集番組を見たんです。」

「なるほど。で、車に乗って美咲町にむかったと。」

「…はい。」

「みなさんばらばらに発見されたとお聞きしましたが、そこまでの経緯を教えていただけませんか?」

「もうすぐ到着するって時に、みんなお昼ご飯を買い忘れたことに気が付いて…近くにコンビニもなかったんで困ってたら…ヨースケがお団子を配ったんです…。ヨースケのお母さんが送ってきたものだそうで。でも私…お団子がすきではなくて…食べなかったんです…。そうしてるうちにだんだん霧が濃くなって、このへんかなぁって言ってたんですけどなかなか到着しなくて…。お団子を食べなかったせいで私もおなかがすいて耐えられなくなってきて、皆でもう戻ろうかってなったんです…でもカーナビも壊れちゃってて、電波も届かなくて…。そしたらヨースケが、ちょっと歩いてみてくるって…車を降りて…そしたら美香子も危ないからって後を追って霧の中に消えちゃったんです…。それでまっててもずっと帰ってこなくて…だんだん不安になって…私も車を降りて二人を探しに行ったんです。そしたら…しばらくしてものすごい音がして…心配になってザッキーの方に戻ったらザッキーもいなくなってて…こわくなって走って走ってやっと交番を見つけたんです…あとは気を失って気づいたら病院にいました…」

深山佐奈の話は、ほとんど報告書通りで食い違う点もなかった。しかし念のためと武田がさらに質問をしようとしたところ、犬山が「かわいそうじゃん!」と止めたので、武田もこれまでと思い、大橋美香子の様子を見に行くことにした。

「大橋さんは未だ錯乱状態でして、高橋さんよりはましなのですが、刺激しないようにお願いします。」

そう言って案内された大橋美香子の病室の扉を開けると、扉の方を向き手にタオルをもった大橋美香子が立っており、顔は上半分が赤く、下半分が白く、本当に桃のようだった。
そしてなにかわけのわからないことを叫びだし、こちらにタオルを投げつけたとおもったら、カーテンの裏に隠れひどくおびえているようだった。


「大橋さんはああなるたびに鎮静剤を打ち、寝て、また起きるとふらっとタオルをもって顔を洗いに行こうとするんです。そして、洗面台の鏡を見て自分の顔に驚いて発狂するということをずっと繰り返している状態です。何かずっと幻影を見ているようで、病室を家だと思い込んでいるようなのです。」


あまりにもひどい状態で、犬山も武田もとうとう桃太郎伝説の怪奇さを実感せざるをえなかった。


医者の話によると、宮崎文太は事故の影響で未だ目覚めておらず、高橋洋介は大橋美香子よりひどい錯乱状態の為、面会謝絶状態だという。

「あの顔の赤みは何が原因なんでしょうか…」


武田が聞くと、医者はまったくもってわからないと首を横に振ったが、何かのアレルギー反応のように見えるので、一週間もすれば赤みは引くのではないかと話していた。



謎めきすぎている事件に、武田も犬山も特に会話をせずに署に戻った。







「何かわかりましたか?」

部屋に入ると門橋はパソコンから目を離さずに、尋ねた。

「報告書通り。」

いつもと同じようにぶっきらっぼうに武田が答えると、犬山が思い出したように言った。

「関係ないと思うけどさーお団子食べたんだって。皆で。なーんか桃太郎だからきびだんごみたいだね!」

門橋は興味なさげに犬山を一瞥した。

「オカルト特集桃太郎伝説のデータが手に入ったので見てみましたが、少し面白いことが分かりました。いわゆる桃太郎の裏話というやつですかね。
桃太郎が鬼退治をした話ですが、鬼というのは村の近くに住む山賊のことで、村の少年が動物達を使ってそれを倒したことが桃太郎伝説の始まりだそうです。それだとあまりオカルトではありませんが、桃太郎が実は精神異常者だったという話です。鬼を倒した後も桃太郎は気が狂ったままで、顔が上半分が赤く下半分は白く、まるで桃のような色になり、とうとう最後には困り果てた村人に殺されました。しかし、その後同じように、顔が桃のようになり気が狂う若者が、村の中で増え、それが怖くなった村人はどんどん村を抜け、今では人の住まない森となったようです。その森が今回の事件現場ということですね。」

顔が桃のように…。実際にそれを見てきた犬山と武田はだいぶ青ざめていたのだが、門橋の次の言葉を止めることはできなかった。

「では、事件現場に向かいましょうか。」










三人で現場とされる場所に着くと、あたりは霧で包まれていて5m先が見えるかどうかだった。
通常三人で行動するのは珍しいのだが、怖がった犬山がどうしてもとインドア派の門橋を無理やり連れてきたのである。

「何も見えない…」

犬山が震える声でつぶやく中、さっさと終わらせたいとばかりに武田と門橋が車を降り、大橋美香子、高橋洋介が向かったとされる方向に足を進めていた。

「けーん!早いよ!!モンキーもおいてかないでッ!!」



車を降りてから十分くらい歩いたところで、小屋が見えてきた。
近づいてみると、築何年だろうかというレベルのボロ小屋だった。

「人は住んでなさそうだけど…」

犬山がそうつぶやいたとき小屋の中から音がした。
はっと見ると窓に人影が見えた。
武田と門橋がとっさにはしって扉の方へ向かった。
犬山もあわてて二人の後を追いかけると、武田と門橋が開けた扉の先には老人がいた。
老人はいきなり開けられた扉に驚いている様子だったが、しばらくして

「何も触るな!!」

と声を荒げた。

「あなたはここで何をしているのですか。」

門橋が聞くと、勝手に入ってきて何を失礼なという顔しながら老人は答えた。

「実験だ。」







老人の正体は、創薬研究者だった。
創薬研究者つまり、薬を開発する仕事だ。
そんな人がなぜここに。

「これだよ。」

そういって老人が差し出したのは、一束の草だった。
しかしそこから、甘い香りが漂っていて、車を降りた時からしていた匂いはこれだったのかと三人はさとった。

「この草はここにしか生えていない草で名前はない。私は桃の香りがするのでモモクサと呼んでいる。」

老人は、モモクサとそれを研究するに至る経緯を話し始めた。

「この近くには昔、といっても40年ほど前だが、一つの村があった。村人は少なかったが、かなり昔から細々と存在していた村だった。しかし、そこである事件が起きた。若者が次々と気が狂い暴走を始めたのだ。中には死ぬものもあらわれ、村人は危険を感じ村から去っていった。その時、何人もの村人が口にしていた言葉というのが「ももたろうの呪い」だった。その村には、昔から桃太郎伝説という言い伝えがあり、それは君たちも知っている通り鬼退治をした少年の話のもととなったものだ。それというのは、昔村には定期的に山賊がやってきていて、武力で村のものを勝手に奪い村人も困っていた。そんな中、ある少年はある草を食べると一時的に自分の力とは思えない力を発揮できることに気が付いた。少年はこれなら村を救えるかもしれないと、山賊退治を決意した。そして、その草を練りこんで団子にしたものを母親に作ってもらい、山賊退治に向かったのだ。途中、猿やキジ、イヌといった動物を少年は団子を餌に従え、山賊の住むこの土地へとやってきたのだ。その日は、今日のように気温も低く霧が出ているときだった。そして少年は、団子を食べ山賊を無事倒すことに成功した。しかし、少年は、なぜか錯乱状態になり、今度は村に戻り村人を襲った。生き残った村人たちは、錯乱状態で顔の上半分が赤く、下半分が白くなった少年を見て、鬼に取りつかれたのだと思い、少年を殺すしかなかった。そこから、少年の弔いの為に、その草を練りこんだ団子には不思議な力があるとされ、祝い事や儀式のたびにその団子は作られるようになった。」

そこまで一気に話すと老人は、話しながら淹れてくれたお茶を三人に勧めた。

「大丈夫。これはただの緑茶だ。」

「あなたは村人の方だったんですか。」

そう門橋が聞くと、老人は首をふった。

「村から逃げてきた村人に聞いたのだ。ここまで来て頭のいいやつには分かるかもしれないが、その伝説に出てきた草というのがこのモモクサ。そしてこれには、」

「覚せい剤や、麻薬のような効果があるということですね。」


すかさず門橋が言った。

「えっでも村でずっとお団子が作られてたんなら、なんで村人は皆その少年のようにならなかったわけ?」

「私はそれを研究しているのだ。そこで最近分かったのが、この土地の気候だ。草は村があった場所にもこの山賊のいた土地にも生えているが、ここのように草の匂いが充満しているのはここだけだ。つまり、団子を食べたうえで、この土地でしか発生しない草の成分を吸うと、おそらく効果が倍増され錯乱状態に陥るのだ。」

「なるほど…つまり…これでなぞは解けた…ということですね。」


そう門橋はいうなり「ありがとうございました」と老人に頭を下げて帰ろうとした。

「ちょっとまていっっ」

今までがくがく震えていた犬山が、がくがく震えながら門橋を止めた。

「いやいやいや!かえっちゃだめでしょ!!おじさん!その錯乱状態になった人って治らないの⁉」

「治せないこともないが…」

門橋も我々がそこまでする必要が?とぶつくさ言いながらも、

「この間、若者男女四人がその少年と同じような状態を起こしまして、」

と、老人にことのあらましを話したところ、老人ははっとしたような顔で、おそらく高橋洋介であろう男性が小屋に来て老人を見るなり、絶叫して出ていったという。

「その時点ですでに錯乱状態だったということですね。」
「車にはあと一人乗れる。」
「病院へ急ごう!」











「これで大丈夫だ。じき薬の毒は抜けるだろう。」

「ありがとうございます!」

お礼を言っていたのは犬山だけだったが、医者も原因不明のものが明らかになってよかったというようだった。
そして、そこに病院から連絡を受けた、高橋洋介と大橋美香子の両親もちょうど到着し、息子や娘の落ち着いた寝顔をみて安堵した様子だった。
すべて解決したかのように見えたが、門橋だけはそもそもの原因となったきびだんごのことを忘れてはいなかった。

「高橋さんのご両親ですよね。お聞きしたいことがあるのですが。」

両親に今回の全容を改めて伝えると、高橋の母親は目を大きく見開いて驚いていた。
何せ、その原因のきびだんごを作ったのは自分なのだから当然だろう。
しかし、少し沈黙した後で、こう答えた。

「私の祖母がその土地の出身だったと思います。うちには、代々伝わる薬草が庭にはありまして、祖母が生まれた土地からもってきたもので、栄養がたっぷりあるのだと言っていました。だからうちには、その草を練りこんだ団子を何かしらあると持たせる習慣があるんです。洋介が五歳の時に、祖母が亡くなり、それを機にその時住んでいた家を手放してしまって、草ももう今の家にはないのですが、ついこの間、前の家を出るときに切り取って乾燥させておいたものが出てきまして、一人暮らしをしている息子にと団子にして送りました。でもまさかそれが原因だなんて………
本当にご迷惑をおかけしました。」







「岡山警部!桃太郎事件解決しました!!」
「報告書ここに置いてきます。」
「事件じゃなくて事故だったけど。」




















数日後


「ヨースケ。私、思い出したの。私が小さいころに会った男の子ってヨースケだったんだね…。二人なのに鬼ごっこして遊んだよね。楽しかったな…。お母さんから聞いたよ。ずっと私のこと覚えてたって。なんで、言ってくれなかったの…?」

「だって、俺の初恋だったから…忘れられてたらと思うと、言えなかったんだ。」

「またねって言ったのにあれから会えなかったし…。」

「あの日にひいばあちゃんがなくなって、しばらくいけなかったんだ。あの公園にある桃の木の香りはひいばあちゃんが大好きだったから。」

「そうだったんだ…。でも、また会えてよかった。」













おわり
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