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「大人の階段」−偶然の再開、そして、“おミヤさま”−

「お、お前!こんなところで何やってんだよ」


懐かしい声に振り返ると見覚えのある男性の姿があった。

……高校時代の恩師である大槻先生だ!


「え!?大槻先生!?」


高校を卒業して十数年も経っているものだから(その事実にも目を背けたくなるけど…)
当時の新任で若々しかった先生の姿と比べると、少し「オジサン」になっているようだけど、間違いない。
大槻先生だ!

「おう!矢吹じゃないか!!久しぶりだな!」

大槻先生は私が高校一年生の時にちょうど新任の社会科の教師として赴任し、私のクラスの副担任をしていた。
当時の先生は大学を卒業して間もない新任教師だったから、クラスのコたちの間でも若くてイケメンと評判だったっけ。
初めて先生の世界史の授業を受けたのは高二の時。
歴史の授業は日本史と世界史の二択で、世界史を選択したものの、カタカナの人名ばかりで苦手だった。

そんな私の世界史に対する意識を変えたのが先生だった。

いや、私だけじゃなく、あの時きっと多くの生徒たちに影響を与えていたと思う。

おじさんおばさん先生が大半のうちの高校の教師の中では一番私達と歳が近いのもあって、
わかりづらい用語を馴染みやすい例に例えて説明していく授業はとても面白くて、
まるでテレビでバラエティを見ているかのように時間が過ぎていったものだ。

「あんまり大きな声で言えないけど、このスターリンの肖像画、現代文の渡辺先生に似てないかー?」

と、大きな声で言って大爆笑を誘っていたのは忘れもしない。(しかも、隣の教室は渡辺先生の現代文の授業)



…なんてことを思い出しながら懐かしさに浸っている場合じゃなくて!

こんな大行列の、しかも列の中にいるってことは……

「あの…先生も“大人の階段”ってやつに並んでるんですか?」

他に並んでる人たちはみんながみんな、面白いくらい静かで、聞いても答えてくれそうにない。
偶然とはいえ、せっかく知り合いに出会ったのだから聞いてみよう、そう思った。

「んー…まあ…そうらしいな。俺もよくわからないんだけど。嫁と息子のためにあっちの不二家でクリスマスケーキを予約してきたとこなんだけどさ」
「ああ!そっか!先生ご結婚されたんですもんね!」

そこからまた話は逸れ、先生の奥さんになった英語の市川先生は今も子育てしながら教師続けてるってことや、
息子さんがもう3歳になること、そして私は大学を卒業して、忙しいけれどなんとか広告の仕事を毎日やっている、
…といったような世間話をした。


「…そういえばさ、お前の夢って、なんだ?」
「え…夢ですか?」


そういえば、さっき最初に話しかけた無愛想な男性も言っていた。

『“大人の階段”には夢がある。とにかく夢があるんだ。』
…と。

「私の夢…夢っていうか直近の願望としては、やっぱり彼氏ですかね!できればクリスマスまでに…ってどう考えてもムリですけど!あははは…」

……って言ってて自分で悲しくなってきた。しかも先生相手に何言ってんだ。

「なるほどな、彼氏いないのか〜。お前ももう…いくつだ?アラサーってやつか!?」
「もうっ!やめてくださいよ〜、その現実は直視したくないんですぅ〜!」
「スマンスマン!嫁入り前の女性にそんなこと言うもんじゃなかったなー!」

ハッハッハ!!と高らかに笑ってるけど、私はちょっと傷ついたぞ、先生。
べつにずっといなかったわけじゃないし、ただ、ちょっとダメな奴ばっかり引き当てちゃうだけだし!

「いいですよね〜先生は帰ったら奥さんもお子さんもいるし、クリスマスだって楽しく過ごせそうですしー!そういう先生の夢はなんなんですか〜!?」
と、思わずムキになって聞き返した。

「うーん、俺は…嫁と息子とこれからも健康に暮らせれば何も…まあ強いて言えば、マイホーム買いたいってとこかな。」

うっ。ムキになって聞いたのがいけなかった。クリスマスまでに彼氏!とか言っちゃった自分が恥ずかしい…
「さすが、家庭を持つ男の人の夢は素敵ですね…」



そんな風に話し込んでいると、いつの間にか列も前に進んでいたらしい。
やっと先頭が見えてきた。
けど、列の先にはとても『夢』とはかけ離れていそうな古い雑居ビルしか見えない。

「や〜っと見えてきたな。」
と、先生がボソリ。

「えぇっ、先生は知ってたんですか!?」
「いや、並ぶ前に先頭に何があるかだけ確認してきたんだ。」
「じゃあ、あれが“大人の階段”…!?」
「どうやら、そうらしいなあ……」


不思議そうに“大人の階段”とやらがあるらしいビルを眺めていると、

「おねえさん、おねえさん」

幼稚園…いや、小学1年生くらいだろうか。
七五三で着るような和服を身に纏い、日本人形のようなおかっぱ頭の小さな女の子が私の手を引っ張った。

「チケットはもってますか?」
「チケット?」
チケットなんてあったのか…
というか、そもそも私は先生を見つけて話し込んでついてきてしまっただけで、ここに並んでいたわけではない。
女の子は黒目がちの大きな目で私の目をじーっと見つめている。

「あの、私」
「うん!だいじょうぶです!わたしが“おミヤさま”におねがいしてきますから!」

“大人の階段”に並んでいたわけではないの、と言おうとしたのを遮られてしまった。
女の子は今度は先生の方にぴょんぴょんと回り、
「おじさんはチケットありますか?」
と尋ねた。

「お、おう、あるよ!」
先生は『おじさん』と言われたのがちょっとショックだったのか、
渋い顔をしながらチケットらしいものを女の子に渡した。

「それじゃ、“おミヤさま”におねえさんをあんないしてもいいか、きいてきますから、ちょっとまっててくださいね!」

と、言うと彼女はくるっと回り、“大人の階段”がある方へ向かおうとした。

「ちょ、ちょっと待って!私、ここにちゃんと並んでないし、“おミヤさま”って誰!?そもそも大人の階段ってなんなの!?」

子供相手に思わず問い詰めてしまった…が、すると、女の子の足がピタッ、と止まった。

「“おミヤさま”は、みなさんのゆめにみちびいてくれるんですよ!
“大人の階段”は…もうすこしですから。ちょっとのしんぼうです。もうすこしまっててくださいね!」

…曇りない笑顔でそう言うと、ぱたぱたと“大人の階段”の方に走っていった。
なんだか子供になだめられてるみたいで情けない…。

「まあ、おそらくあの子、“大人の階段”の案内人か何かなんだろうな。
矢吹もせっかくここまできた訳だし、見てみようよ、“大人の階段”。
あの子も上の人に口聞いてみてくれるみたいだしさ」

「え…でも…」

列は少なくとも駅前の方までは伸びていた。
そこから15分程度歩いてきて先生を見つけたのだから、
相当な数の人を抜かしてきてしまったのでは…と辺りを見渡した。

…けど、特に私のことを「割り込みやがって!」といった態度で睨んでるような人はいなさそうだった。

むしろ、ようやく“大人の階段”が近づいてきたからか、楽しみで笑みすら浮かべるような表情で、静かに待っている人ばかり。

余計に気味が悪いなあ…とか考えていると、
私と先生は、いつの間にか“大人の階段”があるという古い雑居ビルの目の前まで来ていた。

薄暗い入り口の横の壁には“大人の階段はこちらです”と書かれたカラフルなポスターが貼ってある。
先生の言うとおり、ここが“大人の階段”か…。

深い穴のようにも見える入り口からさっきの女の子が姿を現した。

「つぎのかた、どうぞ!ごあんないします」

そう言うと私達の前にいた女性の手を引き、“大人の階段”へと導いた。
「あ!そこのチケットのないおねえさん!」

私のことだ!と思いハッとした。

「は、はい!」
「“おミヤさま”のおゆるしがでたので、おねえさんも“大人の階段”、だいじょうぶです!」
そう言うと、“大人の階段”に吸い込まれるように暗闇に姿を消していった。

…ついさっきまで話が尽きなかった私達も、ついに先頭まで来てしまった緊張からか、沈黙状態が続く。


前の女性が入っていって、5分。

「つぎのかた、どうぞ!」

女の子がふたたび現れた。ついに来た。私はごくり、と息を呑んだ。
女の子は前の女性にしたのと同じように、先生の手を引いた。私もそれに続こうとする。

「あ!おねえさんすみません。“大人の階段”はひとりずつの決まりなんですよー。ちょっとまっててくださいね!!」
「ああ、そうなの、ごめんなさい…」

一応そういう決まりもあるのね。

「それじゃあ、俺は先に失礼。お前の夢、叶うといいなあ!」
先生は笑顔の裏に少し緊張した様子も交えたような表情で私の肩をポンと叩くと、女の子と一緒に暗闇に消えてしまった。

………ひとりずつ、って言っても、前の人たちが戻ってきている様子はないな。ってことは、こことは別に出口があるのかな?


…と、一人取り残されボーッと考えていると、また女の子が戻ってきた。
やはり先生の姿はない。

「おまたせしました!つぎのかた、どうぞ!」

−−−−−−−−−−−−−−
ついに、“大人の階段”の謎に近づいてきました!!!
一体どんな階段なのか、なにがあるのか私もとっても気になります…!!
そして、謎のようj…女の子、
そして、“おミヤさま”とは……!?
と、無駄に謎を増やしつつ、ここでバトンタッチです。
小知和さんよろしくお願いしまーす!

以上、大神田でした〜!
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